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KNOWLEDGE 2026.05.30 · 安全・マナー

万が一、海に落ちたら。「浮いて待て」のサバイバル姿勢と4つのルール。

「もし、本当に海に落ちてしまったらどうする?」

ある日の夜釣り、釣り仲間からそう問いかけられた。「泳いで這い上がります」と答えた俺に、彼は首を横に振った。「無理や。夜の海で、濡れた重い服を着て、泳いで壁にしがみつく体力なんか1分も持たない。生き残る方法はただ一つ、大の字になって空を見上げ『浮いて待つ』ことだけや」と。日本から世界へ広まった「浮いて待て(Uitemate)」という命を救う最後のサバイバル手順をまとめる。

落水時のサバイバル・ステップ

落水した瞬間は、冷たさとショックで誰でも激しいパニックに陥る。しかし、「ライフジャケットを着ていれば絶対に浮く」と脳内で念仏のように言い聞かせ、以下のステップを冷静に実行しなければならない。

1. パニックを抑え、空気を吸い込む

水を飲まないように絶対に口を閉じ、大きく息を吸い込んで肺に空気をたくさん蓄える。人間の「肺」は強力な浮力体になる。これだけで、体の大部分が浮きやすくなる。

2. 「大の字」で上を向く(背浮きの姿勢)

両手両足を大きく広げて全身の力を抜き、空を見上げるように上を向く。耳は水中に沈み、顔(鼻と口)だけが水面に出るように静かにバランスを取る。無駄な泳ぎは一切せず、力を抜くことに集中する。

3. 衣服や靴は「絶対に脱がない」

濡れた服や靴は重く感じるため脱ぎ捨てたくなるが、これが最大の罠だ。スニーカーなどの靴は内部に空気を溜め込んで強力な「浮き具(足元のフロート)」として機能する。また、衣服は冷たい海水による低体温症(ハイポサーミア)から体温を守る最大の防寒着になる。脱ごうと暴れると急激に体力を消耗し、水没を招く。

4. ホイッスルで救助を呼ぶ

大声で叫び続けると、肺の空気が抜けて水が喉に入り込むため非常に危険だ。ライフジャケットに付属しているホイッスル(笛)を吹き、音で周囲に落水を知らせる。声を出すよりも体力の消耗を極限まで減らせる。

「泳いで助かろうとするな。ただ浮いて、救助を待て」

海の上で焦って暴れた瞬間に、生存の確率は激減する。頭の中でこの「背浮き」の姿勢を繰り返しシミュレーションしておくこと。それが、暗い夜の海から無事に家に帰り着くための、一番の準備になる。